利休バッグ『ティアラと蝶々』制作過程5

明けましておめでとうございます。

利休バッグ、『ティアラと蝶々』刺繍部分、完成しました!

このデザインの蝶々の刺繍は4回目です。いつもなら1日で刺せてしまうのにな〜んと5日もかかりました!確かに忙しい年末年始ではありましたが、それとは別に刺繍そのものが厄介でした。

まず、金糸混じりの黒地の帯地、これがなかなかクセモノです。白のチャコペーパーから図案を写したのですが、写りにくい上に照明が当たると全てが光ってしまって全く図案がわからなくなりました。

なんとか工夫して刺しましたが。

でも一番の苦労は蝶々の羽のスジの色!

ああでもないこうでもないと5回刺し直しました。( ̄◇ ̄;)

金糸、銀糸、それの太さ違い、またシマシマの金銀糸、オレンジの撚り糸………..。

結局2がけの銀の撚り糸で落ち着きました。最初に考えつきそうな糸なのに、中心の羽をブルーに輝く錦糸で刺したため、せっかくの光沢を殺さないようにと考えすぎちゃったのです。

色はいつもあまり悩まないのですが、今回はとても苦労しました。

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ところで、よく思うのですが、刺繍するって私には写した図案を埋めていく、という作業ではありません。

刺す対象そのものに命を吹き込んでいるような感じがするのです。

今回なら、蝶々が『私のドレスはこんな色じゃないわ。』とでも言っているような。というより、私が蝶々になっていたのかも。

いえいえ、もっと言えば色はすでに決まっていたのかも。

夏目漱石の『夢十夜』という小説の中で、運慶が仁王を見物人の前で掘っている話が出てきます。見物人の男が、『木の中に埋まっている仁王を掘り出しているだけだから間違えようがない。』といいます。

そういうことかも、私も布やビーズ、糸の中から対象を掘り出しているだけかも、なんて思えてくるのです。

さあ、糊付けしてアイロンして、今度は縫う作業です!

今年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

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