名古屋帯『りんご守り』10 蝶に四苦八苦

ブログ、書こう書こうという気持ちだけで、すっかりご無沙汰してしまいました。

 

・°°・(>_<)・°°・。

作品作りに集中しすぎたかな?

な〜んて。。。。でも、あながちジョークでもありません。

今回の帯の前帯はリバーシブル、とお伝えしています。

まず刺すボリュームが少ない、蝶がりんごの枝を目指す図案から取りかかりました。こちらですね。

りんごの小枝はお太鼓からの抜粋のデザインです。

一度刺しているデザインですが、色を変え、図案も多少変えてみました。

お太鼓では隅の方のデザインだったので色も薄めでしたが、今回はメインなのでしっかりと陰影を感じられる色にしました。この写真は制作途中ですが、実際はもう刺し終わっています。

問題は蝶々!

この蝶はリュウキュウアサギマダラという美しい翅(はね←この字なんですね!びっくり!)を持つ蝶をイメージしています。

つややかな浅葱色の釜糸(よりをかけていない絹糸)で刺し埋めたのは良いのですが、模様が繊細なため、どーしよー、と考えてしまいました。

だって繊細な絹糸の上に図案を描くわけにはいきません。

刺繍用の和紙の上に図案を描いて布の上に置き、そこに直接刺してから和紙を破る、という方法もありますが、あまりに繊細な図案だと完全に和紙を取り除くのは大変ですし、せっかく刺してある下の釜糸が傷つくかもしれません。

 

恩師の沖文先生にお聞きしたら、図案を描かずに直接刺してみてください、と言われました!

よし、先生がそうおっしゃるならできるはず!と直接刺すことにしました。

でも、直接刺すにしてもやっぱりガイドは必要です。そこで、金糸の中で最も細い八分掛け金で大まかなラインを最初に刺すことにしました。これなら先に書いた和紙を破る方法でいけそうです(^^)

これですね!

 

そしてガイドをもとにこんなふうに刺しました。

いいんじゃない!

繊細な模様が再現できてる!ガイドの金糸が見えてるのも立体感が出ていい感じ。

浅葱色に黒って強すぎるから、金が覗くと優しくなっていい感じ。これで行こう!と刺し進めました。

この写真では1枚だけですが、実際にはもう4枚刺し終わっています………。

 

そこで感じた強烈な違和感 ⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎

実在するリュウキュウアサギマダラは美しいのに、寄せたはずの私のアサギマダラ、なぜ違和感があるんだろう。なんだか地味だし、強すぎるし可愛くない。

もう一度リュウキュウアサギマダラの写真、みてみよう。

と、思って気づきました。私が参考にした写真は白黒だったのです!

改めてネット検索してカラー写真を見ると、この蝶の色は浅葱色にこげ茶の模様です!

試しにこげ茶の錦糸を黒で刺した刺繍の上に乗せてみるとふわっと華やかで優しくなりました。自然通りの色ってやっぱり素敵

 

ん〜、黒じゃなくてこげ茶!黒だって思いこんでた〜〜〜!違和感ありありだったのはこのせいだったんだ……..。

 

でも、全部ほどいて刺し直すのはあまりにシンドイ………。でも、違和感のある作品なんてありえない…….。

カラー写真をそれはもう穴の開くほど見つめていて思いつきました。

浅葱色の羽の中に色が濁ってるところがある!この部分にこげ茶の錦糸を上から駒がけ(フランス刺繍でいえばコーチングステッチです)で乗せよう。アウトラインにも乗せれば、浮き上がって見えそう!

と、考えて修正しているのが(まだ途中です)下の写真です。

ふう〜、なんとか近づいてきた。

納得いくよう、すべての翅のポイントになるところにこげ茶を載せましょう。平板だった蝶が生き生きとしてきました

ついでに蝶のボディに黒いクリスタルを乗せてみましょ。どうしても土台布が濃紺なので、このくらいの石を使うのもありです。頭や触覚もビーズなどでも良さそうです。

やれやれ、なんとかなりそう(^◇^;)

間違いは起こるものですが、解決策もあるものですね。

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

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