名古屋帯『りんご守り』14完成しました!

とうとうとうとう完成しました、名古屋帯『りんご守り』一年がかりでした!

 

♡♡♡☆☆☆☆☆\(^o^)/☆☆☆☆☆♡♡♡

 

コロナ禍、生活の激変をくぐり抜け、バンザイよくやった〜〜〜〜っ!です。

私の金メダル!

 

こちらがお太鼓。りんごの木を守っている猫ちゃんです。

 

 

 

こちらが帯前。リバーシブル帯なので、真ん中のラインで二つに折って2パターンの着こなしを楽しめます

りんごの上に寝転ぶ猫ちゃんとりんごの枝に向かう蝶々と。指導してくださった日本刺繍の沖文先生が、『これ、帯締めどうします?絵が隠れちゃうのが勿体無い。できればしたくないですね。透明な帯締めがあればいいのに。』と言ってくださいました。

 

さらに寄ってお見せしますね。

我ながらかわいすぎる〜( i _ i )

映像より実物はもっとずっとずっとかわいいです

猫ちゃんの毛並みはツヤツヤ美しく、まるで本物のようです。さすが絹糸!

NHKのソーイングビーを見ていたら、出ていたイギリス人が、『絹糸って、虫が吐いたやつだろ』なんて言っていて、おもわず笑っちゃったのですが、だからこそ毛並みにはぴったりだったのかも(^ ^)

 

ところで、私は文様を刺繍しているつもりはありません。命を刺繍しています。

命を再現しよう、そんな意気込みでしたが、仕上がってみると私が再現したというよりも、最初からそこにいた、と言った風に自然にのびのびしています。かなり自惚れた表現かもしれませんが……..。

実際、見てくださった方が、『なんだかそこに実物が張り付いているみたい。』とおっしゃいました

刺繍って立体感がハンパないのです

 

最初、輝くいのちを再現しよう、と考えていました。

 

でもね、刺していて気づいちゃったのです。

 

お太鼓や蝶々の図案のりんごは生きているりんごの木なので、青々と美しいです。

そして、猫が転がるりんごは摘果されて地面に落ちたものなので、多少茶色がかったり傷んだ部分がありますが、これもやはり美しいのです。

生き生きと咲き誇るいのちはもちろん美しいけれど、終わりを迎えようとするいのち、また終わってしまったいのちも美しく、何よりいとしい。全てのいのちが美しくいとしいなあ、そんな気持ちになりました。

 

そんなことを考えながらも、この『りんご守り』に合わせてりんごの花の半衿を刺さねば、それが終わったら、全く別デザインの袋帯も刺したいな、などと新たな思いを巡らせています。

 

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

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名古屋帯『りんご守り』13 帯前メインの猫、完成!

帯前2の図案のメイン、りんごの上に寝転がる猫ちゃんが刺せました!

こちらです!

なんかすごい!かわいい!

 

と、自分でも思ってしまいます。

 

画像では分かりにくいけれど、毛は(もちろん、絹糸)つやつやと輝き、肉入れ(日本刺繍の技法のひとつ、立体感を出すための下抜い、盛り上げ縫い)の効果でまるで生きているかのような立体感。

インスタのフォロワーさんが『撫でてあげたい!』と言ってくださいました。

 

リアルを目指す、というより ”いのちの輝きを表現する”   がモットーなので、モデルのうちのニャンコと彼女を撮った写真をもう穴のあくほど見つめて見つめて観察して。

 

以下が過程です。

まず一番低いところを刺して………。

 

次は上の部分となる右前足、後ろ足。

動画を撮ろうとしたのですが、4、5本同時に針を使ったり、糸が重なる部分は指ぬきを使ってぐいぐい針を押し込んだりとあまりに繊細でかつ力仕事の上、気がついたところを調整しながらというとんでもなく複雑な作業。

何度もトライしたのですが、刺す方がおろそかになりがちでこれでは本末転倒だ、と断念しました。(T ^ T)

 

それでもなんとか完成!

と、思ったのですが、

表情など気になる部分をさらに調整して、トップの完成画像になりました。

 

ところで、

絹糸って、まさに生きている糸だなあと思います。

 

確かに、蚕の繭から作っているのですから、そう表現しても間違い無いのですが、不思議と私のいうことを聞いてくれたり、これは違うよ!と逆らったりするのです。そうして出来上がった作品(猫)は満足げなかわいいぷくっとしたお口やら、ふかふかした脚やら、本当に生きているように見えます。

日本刺繍はどちらかというと、静謐で様式化された美しい模様や手法を思い浮かべがちで、私もそれにとても惹かれるのですが、こういった表現もできるのだな、と感動しています。

そして、様々な刺繍を経験して、◯◯刺繍とは、と言ってしまいがちですが、今はボーダーレスな表現があってもいいんじゃ無いかな、と思っています。

 

さあ、あとは猫ちゃんが寝転ぶ、散らばったりんごを刺すのみになりました。

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

 

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名古屋帯『りんご守り』12 りんごの上の猫進行中!

いよいよこの名古屋帯も最後のパートとなりました。

帯前その2、りんごの上にゴロゴロ寝転びつつネズミの食害からりんごの木を守っている猫ちゃんを刺していきます。

生き物(猫)を刺すのはこれで3度目。

それでもやはり緊張します。

 

ちなみにこの写真が寝転んでいる猫のモデルの私の愛猫、モカちゃんです(^-^)

何と言っても私が目指すのは『リアルな猫』ではなくて、『いのちの輝き』なんですから気が抜けません。

 

リアルな立体感を出すため、まず猫の体がかかっているりんご部分を刺し、それから猫を刺していきます。

軽やかさを出すためりんごを全て刺し縫いで刺すのではなく、まつり縫いでアウトラインのみ刺す部分もあります。それでも立体感を損ねないよう、アウトラインは緑色の色金糸で刺しています。

金、銀、錦糸って、不思議と立体感がでるのです。

 

 

 

そしていよいよ猫。

立体感を出すため『肉入れ』をします。

写真では分かりにくいですが場所によって肉入れ糸の太さを変え、奥行きを表現します。

そして、猫の体の中でも一番下になる部分から刺していきます。

左後ろ足、シッポ、左前足。写真を見ながら毛並みを表現するため同時に何色も使用します。

いのちの色は一色ではありません!複雑に混ざり合っています(^-^)v

 

次は顔!一番気を使う部分です。

 

 

ちょっと画像を分かりやすく大きく反転させてみました。なかなかかわいく刺せたでしょ?くうっと満足げな表情を出そうと苦心しました

私のインスタ

におひげを刺す動画を載せています。

 

 

そしてお腹、後ろ右足と続きます。

この猫はキジトラなので、毛並みの表現に神経を使います。でもそれで表情が出ますし、楽しいところでもあります。つやつやとした絹糸ならではの美しさに我ながらうっとりです。ぜひぜひ実物を見てほしいなあ(*^o^*)

 

随分大作となった名古屋帯でまだもう少しかかりますが、終わりが見えてきました。

自分でも完成するのがとても楽しみです。

 

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

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名古屋帯『りんご守り』11 帯前その1完成!

やっとやっと帯前その一、完成しました〜!

前回の投稿でも書きましたが、りんごの枝はお太鼓で経験済みなのでサクサク刺せたのですが蝶々にはホント〜に苦労しました。

 

これこれ!

私の刺繍はいのちの輝きを再現、表現する、というのが目標なのでリアルにこだわっています。

 

模様、図案、ではなく見る人に語りかけてくる存在そのものでなくては、と心に決めています。

 

前回のポストではリアルを追求して刺繍したのですが、この紺色の帯地に沈んでしまい、ちっとも素敵じゃなかったのです。

そこで、やっぱり納得できないものでは残せない、と泣く泣く全部ほどいてしまいました。

 

そして、モデルのリュウキュウアサギマダラの画像をよ〜くよ〜く見つめてみました。

すると、同じ色の中でも微妙な濃淡や色相があります。

それを意訳(?)して表現しましょ、と下の翅を赤茶の錦糸にしてみたら収まりました〜!

 

華やかでかろやかな、帯としてふさわしい素敵な刺繍になったと思います

 

ああでもないこうでもないと3週間も試行錯誤しましたが、色が決まったら3日で刺せました。

諦めないでよかった〜!

リアルないのちの追求はもちろん素敵ですが、目的によっては多少の遊びも必要なんだな、と勉強になりました。

さあ、いよいよ後はメインのりんごの上に寝転ぶ猫ちゃんの図案の帯前2に取り掛かります(^-^)

3D刺繍アーティスト: Junco Ishihara (石原順子)

 

 

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名古屋帯『りんご守り』10 蝶に四苦八苦

ブログ、書こう書こうという気持ちだけで、すっかりご無沙汰してしまいました。

 

・°°・(>_<)・°°・。

作品作りに集中しすぎたかな?

な〜んて。。。。でも、あながちジョークでもありません。

今回の帯の前帯はリバーシブル、とお伝えしています。

まず刺すボリュームが少ない、蝶がりんごの枝を目指す図案から取りかかりました。こちらですね。

りんごの小枝はお太鼓からの抜粋のデザインです。

一度刺しているデザインですが、色を変え、図案も多少変えてみました。

お太鼓では隅の方のデザインだったので色も薄めでしたが、今回はメインなのでしっかりと陰影を感じられる色にしました。この写真は制作途中ですが、実際はもう刺し終わっています。

問題は蝶々!

この蝶はリュウキュウアサギマダラという美しい翅(はね←この字なんですね!びっくり!)を持つ蝶をイメージしています。

つややかな浅葱色の釜糸(よりをかけていない絹糸)で刺し埋めたのは良いのですが、模様が繊細なため、どーしよー、と考えてしまいました。

だって繊細な絹糸の上に図案を描くわけにはいきません。

刺繍用の和紙の上に図案を描いて布の上に置き、そこに直接刺してから和紙を破る、という方法もありますが、あまりに繊細な図案だと完全に和紙を取り除くのは大変ですし、せっかく刺してある下の釜糸が傷つくかもしれません。

 

恩師の沖文先生にお聞きしたら、図案を描かずに直接刺してみてください、と言われました!

よし、先生がそうおっしゃるならできるはず!と直接刺すことにしました。

でも、直接刺すにしてもやっぱりガイドは必要です。そこで、金糸の中で最も細い八分掛け金で大まかなラインを最初に刺すことにしました。これなら先に書いた和紙を破る方法でいけそうです(^^)

これですね!

 

そしてガイドをもとにこんなふうに刺しました。

いいんじゃない!

繊細な模様が再現できてる!ガイドの金糸が見えてるのも立体感が出ていい感じ。

浅葱色に黒って強すぎるから、金が覗くと優しくなっていい感じ。これで行こう!と刺し進めました。

この写真では1枚だけですが、実際にはもう4枚刺し終わっています………。

 

そこで感じた強烈な違和感 ⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎

実在するリュウキュウアサギマダラは美しいのに、寄せたはずの私のアサギマダラ、なぜ違和感があるんだろう。なんだか地味だし、強すぎるし可愛くない。

もう一度リュウキュウアサギマダラの写真、みてみよう。

と、思って気づきました。私が参考にした写真は白黒だったのです!

改めてネット検索してカラー写真を見ると、この蝶の色は浅葱色にこげ茶の模様です!

試しにこげ茶の錦糸を黒で刺した刺繍の上に乗せてみるとふわっと華やかで優しくなりました。自然通りの色ってやっぱり素敵

 

ん〜、黒じゃなくてこげ茶!黒だって思いこんでた〜〜〜!違和感ありありだったのはこのせいだったんだ……..。

 

でも、全部ほどいて刺し直すのはあまりにシンドイ………。でも、違和感のある作品なんてありえない…….。

カラー写真をそれはもう穴の開くほど見つめていて思いつきました。

浅葱色の羽の中に色が濁ってるところがある!この部分にこげ茶の錦糸を上から駒がけ(フランス刺繍でいえばコーチングステッチです)で乗せよう。アウトラインにも乗せれば、浮き上がって見えそう!

と、考えて修正しているのが(まだ途中です)下の写真です。

ふう〜、なんとか近づいてきた。

納得いくよう、すべての翅のポイントになるところにこげ茶を載せましょう。平板だった蝶が生き生きとしてきました

ついでに蝶のボディに黒いクリスタルを乗せてみましょ。どうしても土台布が濃紺なので、このくらいの石を使うのもありです。頭や触覚もビーズなどでも良さそうです。

やれやれ、なんとかなりそう(^◇^;)

間違いは起こるものですが、解決策もあるものですね。

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

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名古屋帯『りんご守り』9 帯前デッサン

お太鼓も刺し上がり、さあいよいよ帯前です。

 

『りんご守り』の名の通り、摘果されて地面に落ちたりんごを狙って集まるネズミ駆除のため、猫は働きます。

と言っても、そこは猫ちゃん、りんごの上にゴロゴロとしたり、ネンネしたりしています。りんごは冷たくて気持ちいいんでしょうね

そんな様子を帯前デザインにしています。

 

帯前は横長なので、全体図はこちらです。小さな三角で中心を表しています。帯のどの位置にどんな図案が来るかも思案のしどころです。

猫もりんごも刺し方は今までのものと基本同様で。

ただ、重くなりすぎないよう、数の多いりんごは今までの刺し縫いに加え、まつり縫いでアウトラインのみで表現するもの、また菅縫いで日本刺繍らしく軽やかに表現するものなどを混ぜていくつもりです。

 

ところで、帯前は帯を半分に折って使います。なので、今回は重めのメインの図柄と、軽めのサブの図柄を用意しました。

つまり、リバーシブルですね!

ひとつの帯でふた通りの異なる柄ゆきが楽しめます。

サブの方はりんごの枝に近づく蝶をデザインしました。

繊細な蝶なので、どう刺したものかと悩みますが、なんとかしたいです。

こちらもメインの図案と同様に全体像を。

もう少しりんごの枝の位置を上にあげてもいいかもしれません。細かい調整が必要ですね。

 

ところで、先ほどから表裏の図案に乗っかっているビオラは私が育てているものです。

春の訪れを感じさせてくれるので、刺繍とは関係ないのですが、ちょっとのっけてみました。

そのあとはガラスの小さな花器に浮かべて玄関へ。

頑張れ!と背中を押してくれているようです(^。^)

3D刺繍アーティスト :  Junco Ishihara (石原順子)

 

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名古屋帯『りんご守り』8 お太鼓完成しました!

やっとやっと『りんご守り』のお太鼓、完成しました!

やったあ!まだ帯前あるけど………( ̄+ー ̄)

ステイホームからの家族全員の生活の変化やら自分自身の体調不良やらで随分時間がかかっちゃいましたが、やっとここまでこぎつけました。

 

よく頑張った!

 

と、我ながら思います

猫もりんごも木も葉っぱも葉脈もぜ〜んぶいとしい!表情を出すため、とってもとっても考えました。

仕上げの様子を動画に撮ってインスタのリールにあげたのですが、こちらのブログにはどうも容量不足で載せられないようです。私の知識不足かもしれませんが。

 

なので、私のインスタ

https://www.instagram.com/jcaramoca/

をご覧くださいね。

 

フォロワーさんから『癒される』『楽しんで刺しているのが伝わってくる』とコメントをいただいて、一人ニマニマしています。

さあ、帯前のデザインを決めてデッサンに取りかかります。p(^O^)q

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

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名古屋帯『りんご守り』7 刺繍をまとうことに思う

名古屋帯のお太鼓部分、後半着々と進んでいます。

 

今まで、刺した部分を際立たせるため、いろいろな角度でお見せして来ましたが、この角度が実際お太鼓に帯を占めたときの正面になります。

 

左下部分が刺せ、後は右下部分を残すのみ

画面の右下に次の図案が見えていますね。

お太鼓の上のりんごや葉は明るかったのですが、下のものは暗い色が重なります。

 

それぞれの葉に表情を出すために葉脈の刺繍に気を使っています。

金糸やろざし糸の錦糸をまつり縫いしています。

写真では葉や葉脈の微妙なニュアンスがよくわからなくてちょっと残念 (T ^ T)

もちろん、この帯では猫ちゃんが主役ですが、りんごの実や葉、木そのものも輝く命の象徴として、とても大切に考えています。

実際猫よりそれぞれの葉っぱの方に時間がかかっているかも…….。

今回、りんごの葉は、『ぬいきり』で刺し埋め、『切りおさえ継ぎ針ぼかし』でまた上から刺すという非常に手間のかかる手法です。もちろん使う糸は2〜3色。さらにその上に葉脈をまつり縫いで刺すというもの。

目も疲れるし、冬場なのでいくらケアしても指がささくれて絹糸が引っかかり思うように進まず、今まで経験したことがないくらい時間がかかりました。

でもでも、その苦労ももう少し!

ゴールが見えて来ました!もっとも、これから帯前も刺すんですけどね (^_^;)

ところで、ふと思ったのです。

どうしてこんなに大変なのにしちゃうんだろう?っていうか、しないといられない感じですらあります。

しかも、それが楽しいなんて!

そして、私の場合、刺繍を身にまとうということにとってもフォーカスしたくなります。

なぜかな、なぜかな……….

美しく刺繍されたものを身にまとって単純に美しく装いたい、もちろんこれはあります。

他の人が持っていないものを装うのは特別感があって、ちょっと良い気持ちにもなるし…..。

刺すことは私自身の癒しにもなる、作品を見てくれた人もそう言ってくれてるし。

などとぼんやりした思いを抱いていたのですが、日本刺繍の先生から、

『こんな帯締めてたら、きっとあちこちで声かけられちゃうわね。』

と言われてハッとしました。

そうか〜、コミュニケーションツールにもなるんだね〜!

おそらく、世界中どこに行ってもきっとそうでしょう。可愛い猫や美しい緑はみんなの関心を引くでしょう。そして、ある人々には癒しにもなりそう…..。結構私、すごいことしてるかも、なんて思えてきました。

そんなことをつらつら思い、ますます刺繍バカ街道を邁進するのです。

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

 

 

 

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名古屋帯『りんご守り』6お太鼓後半突入です!

 

かなり時間がかかっている今回の作品も、やっと後半にこぎつけました。

 

図案全体の5分の4ほど刺せています。こちらです

残り5分の1、画面左側の部分をこれから刺していきます。

“その場所”とは………!

(これはお太鼓部分なので、実際帯として締めた時の上下は下の写真のようになります。)

これから刺す”その場所”にあたる左下のダークな葉の部分を仕上げ刺ししてさらに葉脈を刺し、右に見えている図案の葉やりんごの実を刺してお太鼓完成となります。もう少し、なのですが、この葉っぱの刺繍はなかなか繊細で過酷!なので時間がかかります。

なんといっても、図案通りに一旦刺し埋めた絹糸が浮かないよう、一本おきに8ミリ間隔で止める”切りおさえ”が大変です。2度注意深く同じ図案を刺すことになるので、とっても疲れます。

こんな丁寧で精緻なテクニックは日本刺繍ならではですね。

また今回、動画でりんごの実を刺繍する様子を撮りましたので、下のアドレスにアクセスして様子をご覧になってくださいね。

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よく、刺繍のことを『チクチク』とおっしゃる方がいらっしゃいますが、違うな、と感じています。

確かに小さな刺繍枠に可愛いお花などを刺す時やパッチワークなどはそんな感じですが、私は多くは大きな刺繍枠に生地をピンと張って男前に(どうしてオトコなんでしょうね?)ええいっと両手で刺しています。

繊細なテクニックでも思い切って針を入れます。

 

針の奇跡はそのまま刺し手の状態を表します。それはそのまま作品の表情になります。

恐る恐る自信無げに刺したものは見ていてやっぱり伝わりますし、のびのびと勢いよく刺されたものは見ていてとても気持ちが良いものです。

なので、私は繊細さを追求しながらも大胆に刺繍しているつもりです。

そして、いつでも全身でダンスしているみたい、というのが私の感想です。

 

3D刺繍アーティスト:Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

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名古屋帯『りんご守り』5 お太鼓の5分の3完成!

ずいぶん久しぶりの投稿になってしまいました。

 

なかなか収まらないコロナ下、不自由な中で自分に何ができるのかと時々考えます。

なのにこんな状況でも美しいものを渇望して、創作に没頭してしまう自分に呆れもするのですが、世の中に対する私の言葉、私の力は結局刺繍することなのだと思います。私の作品が、どんな時でも人々の心に入り込み、寄り添う歌のようでありたい、と強く願います。

 

ところで前回はデザインの右上部分の枝(下の写真)を刺していましたが、

徐々に中心部の葉を刺し、

さらに猫ちゃんの頭の上部分の枝を刺し、

 

さらにさらに猫ちゃんのお顔の左側部分少しと、最初に刺した右側の枝の下部分、トータルで全体の5分の3ほどがやっとやっと刺せました。まだ前帯部分も刺さなければならないのに、お太鼓にこんな時間がかかるなんて!

まあ確かにかなりの大作になると思います。

とは言っても、まだ葉脈も刺してありませんし、一番下の葉2枚はまだ下ごしらえ縫いの段階です。しかも色味に違和感があるので、左の葉の黄色がかった色は濃い緑色に変更します。

こんな感じの色になりました。

うん、収まった(^O^)//♥♥♥

そして、この写真のように、さらに上から絹糸を刺し足します。右の葉も同様にします。右の葉はまだ布目を拾って刺す下ごしらえ縫いの段階ですが、左の葉はその上に切り押さえ、継ぎ針ぼかしというテクニックを加えたものです。

こうすると最初に刺した糸が布から浮くことがなくなります。さらに平面的でカクカクしていた葉が丸みを帯び、色の境目の変化が滑らかになります。

糸の光り方、つやも一定ではなく、複雑に増す感じがして、『日本刺繍すごい!』と思います。女性のたしなみ、教養だった西洋の刺繍と違い、日本刺繍はまさに職人さんのみで継承されてきた”技もの”だと思わずにはいられません。

 ◊〜◊〜◊〜◊〜◊〜◊〜◊〜◊

葉っぱの表現を悩んでいた時、私の素敵な師匠、沖文先生にご指導いただきました。

『りんごと同じ刺し縫いでも良いけれど、あまり重くなりすぎないようにこちらの技法にしましょう』と教えてくださったのです。

私の日本刺繍のキャリアは今年の4月で3年ほど。まだまだこの刺繍に関しては入り口。

先生にはこの静謐で日本刺繍らしい技法を教えていただいて本当に感謝しています。

でも、かなり時間がかかる技法で、おまけに目をとっても酷使します。。゚(゚´ω`゚)゚。

それでも、どんどん刺し広がってゆく緑の中で猫が本当に可愛らしく見え、猫もりんごの木もキラキラと命の輝きを放っているようで嬉しくなります。

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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