引き続きコアラの刺繍の制作過程その4です。
かなり刺し進み、背景とオレンジ色の蝶々を残すだけになりました。
ベビーコアラの手の部分が開いていますが、ここに別刺しした蝶々を乗せて縫い付けます。
背景はこっくりしたオールドイエローのカボーションカットのラインストーンとビーズをびっしり縫い付ける予定です。(画面左に置いてあります。)秋らしい色合いになると思います。
ちなみにラインストーンの豆知識をひとつ。鉛ガラス製の模造ダイヤモンドを指す言葉です。また広く模造宝石を言うようです。ドレスの装飾やアクセサリーに用いられています。ライン河畔のフランスのストラスブールでつくられたことからこの名がついたとのことです。
今回は様々な糸を使って刺繍しています。ベビーコアラの白い毛はレーヨン糸で、ママコアラの白い毛は絽刺し糸の錦糸で、ママコアラの足は絹糸で、ママコアラの体はナイロンのリボンで。(リボンを糸の一種とみました。以前のブログでシルクリボンと書きましたが、ナイロンでした)
写真ではちょっとわかりにくいのですが、それぞれが皆違う味わいで、改めて糸刺繍の奥深さを感じました。
華やかに光るレーヨン糸、豪華で上品、幽玄な絽刺しの錦糸、そして艶やかでやや控えめでありながら上品な光沢の絹糸。いつもレーヨン糸や絽刺し糸を使うことが多かったのですが、今回は絹糸の魅力を痛感しました。前に出てくる華やかさというよりも心の奥深いところにささやきかけてくるような感じです。たくさん京都のアートファイバーエンドーさんで仕入れたので、これからは多用しようと思います。ただ、一本一本が蜘蛛の糸のように細いので、取り扱いが意外に難しいです。日本刺繍はこの糸を何本か束ねてよって使うようですが。次回お店に行った時に、上手な扱い方法をお聞きしようと思いました。
糸の話が長くなりましたが、絹糸で刺繍したママコアラの足には実はちょっと思い入れがあります。
絹糸で刺繍した後、爪を抑えた色のゴールドビーズで刺しました。
このデザインはもちろんリアルに大人のコアラの足ですが、以前美術館で見たスキャパレリの手袋にはからずも似ています。
こちらがその画像です。黒のシルクの手袋にゴールドの爪がついています。写真を撮っても良いコーナーだったので、薄暗い中、懸命にシャッターを押しました。スキャパレリはシャネルと同時代に活躍した女性デザイナーです。シャネルとは対照的にゴージャスで装飾的なドレスを得意としていました。遊び心満載で、おしゃれでエレガントな手袋にノックアウトされ、いつかこんな作品を作りたいと思っていたのですが、まさかコアラの足で叶うとは!(笑)
明日はオレンジ色の蝶々にチャレンジです。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。