横長利休バッグ『パンジーウェーブ』制作過程3刺繍完成

前回は妖精部分の刺繍をお見せしました。

ボリュームがあまりないので、刺繍、できてしまいました

とりあえず、やはりスター的な蝶々の部分をどうぞ。

まずブルーのパンジーに使った青糸と白い糸を混ぜて地引縫い。なんとも言えない艶やかさは絹糸ならでは。その上に銀糸で十字組み縫いをしています。自分でもうっとりする美しさです。

輪郭は2種類の銀糸をまつり縫いと駒がけで刺して、ポイントにロジウムメッキのかなりメタリックな極小ビーズを留めています。

そしてセンターにはオパールカラーのラインストーン。夢のようなバタフライになりました。

なかなか布や糸本来の美しさが写真ではでませんが、雰囲気は感じていただけそう

そして、残りはウエーブとして表現しているパンジー達。

華やかな妖精や蝶ではなく、私の中ではこちらが主役です。

密かに花の繊細なグラデーションはもとより、葉っぱの糸をよりをかけたもの、かけない釜糸、銀糸を混ぜたもの、などいろいろ表現を混ぜて表情を出してみました。

わかりやすく『パンジー』としていますが、実は我が家のベランダのヴィオラ(小型のパンジー)がモデルです。

この写真はなぜか端正に写ってしまいましたが、茎がきゅ〜んと野放図に伸びたりして、面白いなあ、ウエーブしてる、と思ったことがインスピレーションの源です。妖精がぶら下がってるのかも、なんてね。

日本刺繍の利休バッグといえば宝づくしやお花などが定番ですが、私独自のものを作ってみたかった。

そして、前回の利休バッグはスタンダードな形のモダンな黒色のものでしたが、今回は横長で背が低く、かろやかな薄紫と水色メインのかわいいバッグです。

2枚目の写真の青いしつけ糸は十字が天地、つぼのような形は持ち手付け位置、左上に見えるアールはまさに左上部の印です。華奢で小ぶりなものになります。

明日からまた型紙を作らなくては。

ところで、このコロナ騒ぎで皆様の生活も随分と変わってしまったかもしれませんね。

私も、このバッグを作るにあたって、ファスナー(蔵前のK ファスナー)、型紙作りのための地券紙(かばん屋さんのキット)、足りなくなった絹糸(京橋の越前屋)、持ち手用の撥水ポリエステル布(新宿のオカダヤで買いたかったけれど、実店舗もネットショップもお休み!なので楽天の中の布地のお店ソールパーノ)などなど全てネットや電話注文で調達しました。( ̄◇ ̄;)

結構何でも自宅にいながら買えることに気づいたのですが、その存在を知っている、品番だけ伝えれば買えるものばかりでなく、実店舗で直接見ていろいろ比べて買えることがやっぱりいいな、と思いました。偶然出会う素敵な素材や、馴染みの店員さんが奥からこっそり出してくれるもの、その時にしかないものなんかがあるからです。

何を勝手なことを!生活そのものが脅かされている人がいるのに、と自分でも思うのですが、本当に今までの日常は当たり前ではなかったと今更ながら痛感しています。

私に今何ができるのか、逡巡しています。

3D刺繍アーティスト:Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

 

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