いよいよこの名古屋帯も最後のパートとなりました。
帯前その2、りんごの上にゴロゴロ寝転びつつネズミの食害からりんごの木を守っている猫ちゃんを刺していきます。
生き物(猫)を刺すのはこれで3度目。
それでもやはり緊張します。
ちなみにこの写真が寝転んでいる猫のモデルの私の愛猫、モカちゃんです(^-^)
何と言っても私が目指すのは『リアルな猫』ではなくて、『いのちの輝き』なんですから気が抜けません。
リアルな立体感を出すため、まず猫の体がかかっているりんご部分を刺し、それから猫を刺していきます。
軽やかさを出すためりんごを全て刺し縫いで刺すのではなく、まつり縫いでアウトラインのみ刺す部分もあります。それでも立体感を損ねないよう、アウトラインは緑色の色金糸で刺しています。
金、銀、錦糸って、不思議と立体感がでるのです。
そしていよいよ猫。
立体感を出すため『肉入れ』をします。
写真では分かりにくいですが場所によって肉入れ糸の太さを変え、奥行きを表現します。
そして、猫の体の中でも一番下になる部分から刺していきます。
左後ろ足、シッポ、左前足。写真を見ながら毛並みを表現するため同時に何色も使用します。
いのちの色は一色ではありません!複雑に混ざり合っています(^-^)v
次は顔!一番気を使う部分です。
ちょっと画像を分かりやすく大きく反転させてみました。なかなかかわいく刺せたでしょ?くうっと満足げな表情を出そうと苦心しました♥
におひげを刺す動画を載せています。
そしてお腹、後ろ右足と続きます。
この猫はキジトラなので、毛並みの表現に神経を使います。でもそれで表情が出ますし、楽しいところでもあります。つやつやとした絹糸ならではの美しさに我ながらうっとりです。ぜひぜひ実物を見てほしいなあ(*^o^*)
随分大作となった名古屋帯でまだもう少しかかりますが、終わりが見えてきました。
自分でも完成するのがとても楽しみです。
3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)