制作途中のイコン、メインの聖母子像が刺せました。
自分でも、なかなかかわいく刺せたと思います。
特に、マリア様の光輪に使った錦の絽刺し糸が美しくて、我ながらうっとりしました。
この光輪の糸は東京は京橋の刺繍材料の老舗、越前屋さんで買い求めました。画面ではちょっとわかりにくくなってしまっていますが、右上のほどけている糸です。
私は絽刺し糸、それも錦糸が大好きで、作品に糸刺繍を施す時は必ずと言っていいほどこの糸を使います。
他にも、しっかり巻きになっているのはインド製のシルクレーヨン糸、画面下の糸はやはり錦が少し入っている京都のアートファイバーエンドーさんのもの、散らばっているビーズは艶やかな広島ビーズ、同じように散らばっている大きめのスパンコールはフランス製、小さめのものはインド製のスパングル(国によって呼び方が違います)。子供のキリストの光輪にはモールやクリスタルのスパングルストーン(いずれもインド製)を使っています。
私の材料のストックはかなりなものです。
この作品に合わせて買い揃えたわけではなく、材料を見たときに素敵!と思って集めたものです。
もちろん、イメージ通りのものが手持ちにない時は探し回りますが。
イコンの下絵を描いた時、また刺していくうちに、この部分はあの素材で、あのテクニックで、とどんどんインスピレーションが湧いてきました。途中で、やはり違う、と変更する事もあるのですが、今回の作品に関してはとてもスムーズでした。
素敵なマテリアルが、私にアイディアを与え、作品作りを後押ししてくれている感じがしました。
以前通っていたオートクチュール刺繍教室のショップでかなり材料を購入していたのですが、現役の生徒でなければ購入できなくなり、ちょっと不便になりました。珍しい材料、特に日本ではあまり種類のないスパングルが豊富だったので、少し残念です。
でも、オートクチュール刺繍も以前より愛好者が増えつつあるようで、探してみると、何軒か材料屋さんを発掘することができました。探し当てたお店の方にまた別のお店の情報を教えていただいたりもしました。まあなんとかなるかなと楽観しています。
日本はなんでも揃う便利な国だと思っていましたが、オートクチュール刺繍の材料に関してはもう一つだと思います。材料の調達は今後の課題ですが、それも含めて頑張っていきたいです。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
3D刺繍アーティスト:Junco Ishihara (石原順子)