とうとう2018MET GARAのテーマのネックレスが完成しました。
ニューヨークのメトロポリタン美術館には、衣装研究所が資金集めのために毎年5月の最初の月曜にファッション界、エンタメ界のセレブを招待して開催する『METガラ』と呼ばれる催しがあります。
『ファッション界のアカデミー賞』などと称され、あまりにも華やかなこのイベントを、私はとても楽しみにしています。
毎年装うテーマが決まっていて、昨年は『カトリック』でした。
華やかな女優やモデル、シンガー達が『教皇』『聖母子』『天使』『十字架』などをテーマにしたゴージャスなドレスをまとってMET(メトロポリタン美術館)の正面階段を登っていきます。
私の目を引いたのはケイティ・ペリー!
ゴールドの天使に扮していました!ブロンドのショートヘアにミニスカート、ロングブーツ、」かわいいっ♥
その生き生きっとした、伸びやかな美しい姿にノックアウトされちゃったのです。(((o(*゚▽゚*)o)))」
なんとかこの感動を形にできないか、とこのネックレスを作ることを決めました。
なぜネックレスかって?
自分でもわからないのですが、そう思っちゃたのです!
とにかく作ってみたかった。
そして、いろいろなことを試してみたかったのです。
まず天使とはいえ、人間の顔の表情や体の表現。それはとても難しいです。
これには主に日本刺繍のテクニック、絹糸を使いました。はかない美しい感じを自分ではなんとか出せたと思います。
翼や衣装、髪も絹糸(絽ざし糸)をメインに変形スパンコールを使い、思いつく限りの技法を凝らしました。
写真を撮っている時、『べっぴんさんがここにいる!』と思わず叫んでしまいました。
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それとリボン!よくあるかわいい蝶々結びとかではなく、リボンを何気なく置いた感じで、自然なドレープが出ている状態のもの。それを立体的に刺繍で表現したいとずっと考えていました。
今回はネック部分にビーズ刺繍して形にしたリボンを使いました。カットワークしてエアリー感を出しました。(天使の光輪の部分もです)
とにかくあまりに繊細なので、縫った部分を切ってしまわないようとても気を使いました。
リボンにはワイヤーを入れているので、好きなように形作れます。
人間の表現と立体のリボン、この二つがうまくできれば、表現の幅がかなり広がります。
とても繊細で気を使う仕事でしたが、やり切ったと思います♥
本当にこんなことできるのかな?どうしてこんなことに手をつけちゃったんだろう、と度々不安にはなるのですが、なんとかできちゃうもんです。
確か、夏目漱石の『夢十夜』に出てくる運慶が、木の中にあらかじめ入っている仁王を掘り出しているだけだから、思うようにできるのだ、という話があったと思いますが、自分で言うのも図々しいのですが、それに近いものがあるのかも、です。
ナンチャッテ!
糸を買いに行った京橋の老舗、越前屋さんでこの作品の制作途中の写真をお見せしたら、アーティスト登録をしていただけた顛末を以前ブログに書きましたが、その時、『モデルの方にメールして、つけていただいたら?』と言われました!
私もそう思います!そうしてみようかな!
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
3D刺繍アーティスト:Junco Ishihara (石原順子)