名古屋帯『りんご守り』7 刺繍をまとうことに思う

名古屋帯のお太鼓部分、後半着々と進んでいます。

 

今まで、刺した部分を際立たせるため、いろいろな角度でお見せして来ましたが、この角度が実際お太鼓に帯を占めたときの正面になります。

 

左下部分が刺せ、後は右下部分を残すのみ

画面の右下に次の図案が見えていますね。

お太鼓の上のりんごや葉は明るかったのですが、下のものは暗い色が重なります。

 

それぞれの葉に表情を出すために葉脈の刺繍に気を使っています。

金糸やろざし糸の錦糸をまつり縫いしています。

写真では葉や葉脈の微妙なニュアンスがよくわからなくてちょっと残念 (T ^ T)

もちろん、この帯では猫ちゃんが主役ですが、りんごの実や葉、木そのものも輝く命の象徴として、とても大切に考えています。

実際猫よりそれぞれの葉っぱの方に時間がかかっているかも…….。

今回、りんごの葉は、『ぬいきり』で刺し埋め、『切りおさえ継ぎ針ぼかし』でまた上から刺すという非常に手間のかかる手法です。もちろん使う糸は2〜3色。さらにその上に葉脈をまつり縫いで刺すというもの。

目も疲れるし、冬場なのでいくらケアしても指がささくれて絹糸が引っかかり思うように進まず、今まで経験したことがないくらい時間がかかりました。

でもでも、その苦労ももう少し!

ゴールが見えて来ました!もっとも、これから帯前も刺すんですけどね (^_^;)

ところで、ふと思ったのです。

どうしてこんなに大変なのにしちゃうんだろう?っていうか、しないといられない感じですらあります。

しかも、それが楽しいなんて!

そして、私の場合、刺繍を身にまとうということにとってもフォーカスしたくなります。

なぜかな、なぜかな……….

美しく刺繍されたものを身にまとって単純に美しく装いたい、もちろんこれはあります。

他の人が持っていないものを装うのは特別感があって、ちょっと良い気持ちにもなるし…..。

刺すことは私自身の癒しにもなる、作品を見てくれた人もそう言ってくれてるし。

などとぼんやりした思いを抱いていたのですが、日本刺繍の先生から、

『こんな帯締めてたら、きっとあちこちで声かけられちゃうわね。』

と言われてハッとしました。

そうか〜、コミュニケーションツールにもなるんだね〜!

おそらく、世界中どこに行ってもきっとそうでしょう。可愛い猫や美しい緑はみんなの関心を引くでしょう。そして、ある人々には癒しにもなりそう…..。結構私、すごいことしてるかも、なんて思えてきました。

そんなことをつらつら思い、ますます刺繍バカ街道を邁進するのです。

3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

 

 

 

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