半衿『りんごの花園』左衿が完成しました。
画像で経過をお見せします。
前回は緑の葉っぱを刺したところまででした。
今回は綺麗なピンク色から白のグラデーションの糸を並べてまず、つぼみを刺しました。こんな可愛らしい糸で刺すのは久しぶりなので、ワクワクです。
刺繍台の上の部分にりんごの花の写真を置き、見つめながらの作業です。
それにしても、ピンクってほんと、ハッピーな色ですね♥
一番端っこのつぼみを刺しました。
りんごのつぼみは、固く結ばれているものほど赤く、開くにつれピンクから白になります。
次々つぼみが咲いていきます。
色が載ると生き生きと本当に咲き始めるように感じます。
そして花びら!
種類にもよりますが、咲き誇る花は実際はもう少し白いです。
私は、それでもピンクを内在している花びらとして、薄いピンクから白のグラデーションで表現してみました。
いのちの色!
そんな風に感じました。
そして花芯。なんと、よく見ると花びらと花びらの間に、さらに薄みどり色の萼(がく)があるのです!いずれ現れるりんごの実を優しく守るためでしょうか。
こんなことはよくよく観察しなければわからないことです。
自然って、本当にすごい。
初めて刺繍を学んだ時、先生が『何より自然が一番の先生なのよ。』とおっしゃっていたのが思い出されます。
めしべとおしべの表現も悩みましたが、ろざしの錦糸3色で、できるだけ本物に忠実に刺そう、と決心すると、おかしな表現ですが、花自らが現してくれたのかと思うほどリアルに刺せました。
これは時々感じるのですが、よくよく対象を見て自分の中に落とし込むと思いがけず本物のようにリアルに表現できる気がします。と、いうより、本物がその場に現れてくれる、という感じです。
私はそれをちょっとお手伝いしているだけ、といった気持ちになります。
なので、『あなたはどう咲きたいの?』と図案の花に心の中で話しかけながら刺しています。
そして最後は蝶々。
花の中に紛れさせたいと、主役のりんごの花に準じた白にしています。
左衿、完成しました。
私は子供の頃から手先が器用で、実はこのレベルの刺繍も小学生の頃からできたのではないか、と自惚れていました。
けれど、今回『りんご守り』の帯やセット品のこの『リンゴの花園』を刺してみて、それが大きな間違いだと知りました。
刺しながら、今まで自分の中の経験や無意識に蓄積されていたものに助けられたり、たくさん学ばせていただいた13人(!数え上げて自分でびっくりしました)の先生方のお言葉など時々に思い出したのです。
自分だけではない、大きな力、というもののおかげかな、と少し謙虚な気分になりました。
そして、ひとつ山を越したような、成長したような気持ちにもなりました。
自分で言っちゃっていいのかな?いいでしょう!
さあ、気分も新たに今度は右衿です。
全く同じなものは面白くないので、デザインは変えてあります。
またまた頑張らなくっちゃ!
3D刺繍アーティスト : Junco Ishihara (石原順子)