制作過程その2メインのベビーコアラを刺繍しました

制作過程その2

以前の投稿に続き、メインのベビーコアラの刺繍ができました。

私がコアラに持っているイメージは、モコモコしたグレーで丸っこい体、大きな黒っぽい鼻とうちわのような耳、いつも木につかまっている、といった程度です。

正確にコアラを知ろうと、たくさんたくさんコアラの写真を見ました。

コアラの毛って、ストレートではなく、なんだか縮れています。毛の色はライトグレーですが、わずかに目の周り、耳の付け根や先っぽ、あごの下、お腹、前足や後ろ足の内側などが白いです!2色だったんですね、まるでパンダみたい!(まあ、位置は違いますが)

これをどう表現しましょう……….。

私はなんといっても艶やかな絹糸やレーヨン糸が大好きです。それなのにビーズやスパングルを使うことが多いので、今回は糸で表現したい、そう思いました。美しいグレーの糸がたくさんあるので、いっそ背景以外は糸刺繍をして、後からビーズやスパングルを毛流れの一部として刺せばいい……..。

と思って試し刺しをしてみました。でも、コアラっぽくなりません。コアラって、毛がカールしているので、毛流れを表現するステッチが限られるのです。それをしてみても少しも魅力的ではなく、時間もかかります。却下!

次はあっさり糸を諦め(糸は白い部分に必ずフサフサと使うと決めました)、オーソドックスなビーズとスパンコールの連続刺し。刺す方向を随分工夫したつもりですが、これもなんだか可愛くないのです。顔いちめんに刺しましたが、全部外してしまいました。

『もう〜どうしてこんなテーマ選んじゃったんだろう、決まらない!気分転換にインスタでも見ようかな。』と見ていたインスタの中に、ありましたありました、ぐっとくるテクニックが!インスタやピンタレストなど、世界中の素敵な作品の刺繍を見ていると、参考になるテクニックがたくさんあります。

みた瞬間、『この手があった!』と踊りだしたくなりました。以前から知っていたテクニックでしたが、今回全く思い付きませんでした。しかもかなり好きなテクニックなのにです。ビーズとスパングルを糸に交互に複数通し、通した幅より短い距離で布に針を落として止めるとアーチを描いて可愛い立体感が出ます。テクニックが決まると、あとは楽しく刺すことができました。

決まってしまえば、色々悩んで試していたこともまた楽し、です。

耳やボディはまたそれとは別の表現にしました。全部顔と同じでは重い印象になるからです。また各パーツらしい質感を出したいのです。初めてフランス刺繍を学んだ時、先生に『刺す対象の気持ちになって刺してください。』と教えていただいたことが忘れられません。白い毛の部分を美しいアンカー(ドイツの刺繍糸ブランドです。繊細な色合いが大好きです。)のレーヨン糸で刺し、可愛い表情が出ました。

私のブランドタグを置いて、『ハイ、チーズ!』とひとまず記念撮影です。

さあ、次はママコアラ(といっても体だけですが)です。ベビーコアラとは全く違うテクニックで、装飾的に刺そうと思っています。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

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制作過程その1メインのベビーコアラの下準備(土台作り)

以前投稿したベビーコアラのラフスケッチからの制作過程その1です。

まず下準備。メインのベビーコアラに立体感を持たせるため、図案に沿ってスポンジを置き、上からシルクチュールを被せ、周りをチェーンステッチしました。

スポンジを固定させる意味もありますが、表情の骨格をクリアにするため、顔パーツもチェーンステッチします。

周りのステッチギリギリに余計なチュールをカットしてベビーコアラの刺繍土台の完成です。

これだけでフカフカっとした可愛らしいコアラがイメージできますね。今回は糸刺繍をメインにしようと思うのですが、試し刺しをしてみるとまた変わってくるかもしれません。

素材とテクニックが決まるまでが大変です。20年近く様々な刺繍を経験しました。どれが一番このテーマにふさわしいのか、色々知っているだけにベストのものを選ぶことは案外至難のわざです。(笑)

前回のイコンはそれがとてもスムーズでした。今回は刺繍面積もそれなりに広いので、ちょっと悩んでしまいそうです。

それでもきっとうまくいくに違いありません!

物作りに関しては最初は大丈夫かなと不安でも、最後は上手にこなせてしまう、そんな経験を重ねてきています。

ところでシルクチュール、大好きですが、なかなか手に入りません。入手方法ご存知の方、いらっしゃいましたら是非ご連絡お願いします。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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心に届く物語のある作品…ベビーコアラデッサン

次回作をデッサンしました。

テーマはコアラの赤ちゃんです。

オーストラリアの動物園で今年1月に白いコアラの赤ちゃんが生まれました。

ママのお腹にしっかりしがみつく映像を見て、ここにオレンジ色の蝶々が遊ぼ遊ぼ、と誘いにきたら素敵だな、と想像してみました。

白い、といっても純白ではなく美しい明るい色相のシルバーのベビーコアラ。ママコアラは少しだけダークな、それでも明るいグレー。秋らしくゴールドやこっくりした黄色の素材も混ぜたいところです。

写真右下の絹糸は以前京都のアートファイバーエンドーさんや京橋の越前屋さんで求めたもの。ここに写っているもの以外にもグラデーションでたくさんグレーやシルバーの色を持っています。

こっくりした黄色のラインストーンやビーズはネットショップの『小さな手芸屋さん』で可愛いい!と求めたもの。今風に言えば、ズキュン!でしょうか。(笑)

心に留まる素材を手に入れれば、ぴったりなテーマが舞い降りてくるものですね!

コアラ、というテーマも知り合いの方がたまたま冗談で言っただけのことだったのですが、私の心の中になぜかストレートに入り込んできました。いいテーマだ!と瞬時に思えたのです。

最初は自分の楽しみや美の表現の追求のために始めた刺繍ですが、前回のイコンの刺繍をアップすると、『じっと見ていたくなった。』『見ていると穏やかな気持ちになる。』と言ったご感想をいただいて、少し意識が変わってきました。

このコアラの刺繍を通して、見てくださる方の心に入り込み、その方それぞれの物語を作るお手伝いができればいいな、と思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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イコンの刺繍、完成しました。

プロセスをお見せしてきたイコンの刺繍部分が完成しました。

最初の予定では黒のケミカルレースをつけるつもりでしたが、この表現の方がしっくりきたので変更しました。

縁取りに広島ビーズで連続刺しをし、ポイントにシェルのお花のモチーフを飾りました。

どういうわけかHPとうまく連動しないのですが、石原順子でFacebookもしています。そちらで見てくださった方々が、見ていると優しい気持ちになると感想を寄せてくださって、とても嬉しかったです。

個展を控えて、すぐ次の刺繍に取り掛かりたいので、縫製はまだ少し先です。(もちろん間に合わせます。)

次の刺繍のテーマは『コアラ』です。ちょっと面白いでしょ?

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

3D刺繍アーティスト:Junco Ishihara (石原順子)

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素敵なマテリアル(材料)は良いインスピレーションを与えてくれる

制作途中のイコン、メインの聖母子像が刺せました。

 

自分でも、なかなかかわいく刺せたと思います。

特に、マリア様の光輪に使った錦の絽刺し糸が美しくて、我ながらうっとりしました。

この光輪の糸は東京は京橋の刺繍材料の老舗、越前屋さんで買い求めました。画面ではちょっとわかりにくくなってしまっていますが、右上のほどけている糸です。

私は絽刺し糸、それも錦糸が大好きで、作品に糸刺繍を施す時は必ずと言っていいほどこの糸を使います。

他にも、しっかり巻きになっているのはインド製のシルクレーヨン糸、画面下の糸はやはり錦が少し入っている京都のアートファイバーエンドーさんのもの、散らばっているビーズは艶やかな広島ビーズ、同じように散らばっている大きめのスパンコールはフランス製、小さめのものはインド製のスパングル(国によって呼び方が違います)。子供のキリストの光輪にはモールやクリスタルのスパングルストーン(いずれもインド製)を使っています。

私の材料のストックはかなりなものです。

この作品に合わせて買い揃えたわけではなく、材料を見たときに素敵!と思って集めたものです。

もちろん、イメージ通りのものが手持ちにない時は探し回りますが。

イコンの下絵を描いた時、また刺していくうちに、この部分はあの素材で、あのテクニックで、とどんどんインスピレーションが湧いてきました。途中で、やはり違う、と変更する事もあるのですが、今回の作品に関してはとてもスムーズでした。

素敵なマテリアルが、私にアイディアを与え、作品作りを後押ししてくれている感じがしました。

以前通っていたオートクチュール刺繍教室のショップでかなり材料を購入していたのですが、現役の生徒でなければ購入できなくなり、ちょっと不便になりました。珍しい材料、特に日本ではあまり種類のないスパングルが豊富だったので、少し残念です。

でも、オートクチュール刺繍も以前より愛好者が増えつつあるようで、探してみると、何軒か材料屋さんを発掘することができました。探し当てたお店の方にまた別のお店の情報を教えていただいたりもしました。まあなんとかなるかなと楽観しています。

日本はなんでも揃う便利な国だと思っていましたが、オートクチュール刺繍の材料に関してはもう一つだと思います。材料の調達は今後の課題ですが、それも含めて頑張っていきたいです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

3D刺繍アーティスト:Junco Ishihara (石原順子)

 

 

 

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ベランダの手入れと心の整理

枯れ草ジャングルだったベランダをさっぱりお手入れしました。

11月の個展を控え、時間に追われる毎日を過ごしています。

フェイスブックで気になる方の体験ワークショップやイベントに参加してみたいな、と思うのですが、もう自分のための時間が全く取れません。

ニュースフィードやせっかく登録したメルマガを読むのもだんだん大変になってきました。

夫からは、『先のことを心配しても仕方ないから、今できることに集中してごらん、アイドリングばっかりしているとパンクするよ。』と言われてしまいました。

そうしているつもりだったのに、やはり秋の個展の心配を無意識にしているのでしょうね。

ふと気がつくと我が家のベランダは酷い有様です。

まだまだ暑い残暑だというのに水やりをさぼり、草花たちが枯れる寸前でした。

この写真は、写真撮影の練習のために買った紫陽花です。撮影後植え替える余裕もなく、なんとなく買った時の小さなプラスチック鉢のまま置いていました。もしかしたらダメにしちゃうかも、それでも仕方ないかなあ、などと無慈悲なことを考えていました。

けれど、何度もしおれかけたのに、付け焼き刃の水遣りでそのつど復活します。

さすがに私も反省し、茂り過ぎた花や葉を剪定して過酷な条件なのに出てくれた新芽()に陽が当たるようにしました。

ついでに、他のハーブたちも刈り込みました。

もうどの鉢も根がいっぱいにまわっています。10月になんとか時間を作って植え替えてあげようと思いました。

ベランダのお手入れでしたが、気分も軽やかになり、よし、気持ちを仕切り直したぞ!と思いました。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

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イコン(聖画)モチーフの刺繍、とりかかります

ホームページ作成など、とりあえず一段落したので、ラフスケッチだけ描いて、保留にしていたイコン(聖画)モチーフの刺繍にとりかかりました。

小さなパーティバッグにする予定です。下の写真がラフスケッチです。ゴールドの金環は持ち手になります。

色は基本色を白と黒とゴールド、と決めています。ただ、表情を出すため、多少は他の色も混ぜていきます。

いつか使おうと秘蔵していた質の良い黒のケミカルレースを縁取りにします。素敵な立体感が出せると思います。

イコンは以前からチャレンジしたかったモチーフです。

動物なら毛並みや表情を刺した経験があり、それなりに自信もあるのですが、人間の顔は過去に1、2度しかありません。それもビーズでフラットに全面を刺しただけ。どんなテクニックが良いのか、私らしいのかずいぶん考えました。私らしさ、それが一番大切です。

よくインスタで、外国の方が刺繍糸で素敵なロングアンドショート、もしくはフリーのサテンステッチで人物の顔を刺してアップしています。

美しいし、同じようにさせる自信はありますが、重厚になりすぎる気がします。ラフスケッチのふんわり優しく暖かい雰囲気を出したいと思いました。

持っている材料で、人の顔に使えそうなものをピックアップしました。

まず、あんこ、なんて言いますが、頬や鼻、おでこなどを白の木綿糸で盛り上げ刺ししておきます。そして写真の、よってある糸の上の、筒状のむら染めのリボンでふわっとした感じに肉付けすることにしました。

リボンを顔の筋肉のように刺した後、白のシルクシフォン(これが皮膚になります)をかぶせ、輪郭を白のシルクレーヨン糸でチェーンステッチします。その後、シフォンを輪郭ギリギリにカットします。

そしてその上に下絵を描いた和紙をピンで留めて、目鼻立ちの位置を白い糸でまたチェーンステッチします。骨格になります。ステッチ後、和紙は破り捨てます。

裏はこんな感じです。リボンで刺しているのがわかりますね。

そしてさらに目鼻立ちや立体感を出したり、表情付けのためのビーズやスパンコール(フランス製です!)を刺して表情完成です。

まだまだ髪や衣装、背景やレースのあしらいなど、課題は山積みですが、とりあえず中心となる顔は刺せました。

私らしく刺せたと思います。これだけで、あっという間に半日かかってしまいましたが、不思議なことに、ネットや個展準備など目の回る忙しさなのに、刺繍をすると疲れが飛んでいくような気がします。

ランニングハイのようなものかな?とも思うのですが、ただ夢中になれることがあることに、感謝したいです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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クロス模様のペンダントブローチ

以前、FacebookやInstagramで投稿したクロス模様のペンダントブローチ。

このデザインには思い入れがあります。

どういうわけか、子供の頃から幾何学模様が連続する様子にとても心惹かれます。多分、そういったものから、リズムを感じていたからかもしれません。遠くまで続く並木道や、高速道路の規則的に置かれた街灯などリズミカルなものって美しいですよね。

こんな窓の並ぶ建物とか、

こんなcuteな花器とか、

少しランダムにアレンジされてはいますが、このティファニーの写真立てとか、シンプルな模様の組み合わせや連続って本当に美しいな、可愛いなと感じます。

そんな私ですから、小さなブローチのフレームを見た時、この小さなスペースに、可愛い宇宙を表現したいと思い、クロスを組み合わせた模様を刺繍しました。

このクロス模様のデザインをするにあたり、参考にしたものがあります。カラフルな色使いが得意なイギリスのニットデザイナー、ケイフ·ファセットのセーターです。数年前、編み物雑誌に載っていたものを夫のために 私が編みました。思いがけない色の組み合わせが楽しく、クロスが重なるアイディアが素敵で、このデザイナーが大好きになりました。

美しいもの、素敵なものはいつでも私の味方です。素晴らしいインスピレーションを与えてくれます。

日々アンテナを張り巡らせて、そういったものをキャッチしたいです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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デザイン練り直し、違和感のあった『青い森のうさぎ』

個展用のチラシに載せるため、バッグの写真を数点撮り直しました。

その中で『青い森のうさぎ』のポーチがとても気になりました。

実はこれ、お世話になった方にプレゼントしたものです。なので、個展までということでお借りしています。

久しぶりに見て、愕然としました。こんなつまらないものをプレゼントしていたのか!とショックでした。うまくは言えないのですが、なんだか魅力がないのです。完成した時は素敵!と思えたのですが…….。

どうしてかな、と作品をよくよく見て気がつきました。ファスナーを支えるグレーの革のすぐ下部分が、刺繍土台布がむき出しで、まるで作成途中のようで中途半端な印象です。

今より革の縫製に自信が持てなくて、本来なら革ギリギリまで刺繍するところ、刺繍部分をミシンで縫い込んでしまうことを恐れて、間を空けてしまったのでした。

自信のなさが作品をつまらなくしていたのです。耐えられない!と刺し足すことにしました。綺麗、と以前ストックしておいたアクリルボールと、ちょっと渋めの大きめサイズのベネチアンビーズを縁飾りのように刺したら、ぐっと素敵になりました。

気にかかることがあったら、すぐアクションすることが大事だと痛感しました。

こんな風にバッグ持ち手にかけて使えるように、と作ったものです。ちょっとしたものも入れられる、実用的なバッグチャームといったところでしょうか。スタイルに合わせて、いろいろなデザインのものをかければ、とても楽しいと思います。

今回刺し足した部分と同じボーダー刺繍をセンターに入れて、斜めがけできるような華やかな持ち手をプラスすれば、パーティにも良いな、と思えました。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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銀座にて、とうとうホームページ、完成させました!

11月の個展のために一刻も早く!と思っていましたが、骨折()したり、ハンドバッグの作り直しがあったりで、なかなか思うように進まなかったホームページがやっと完成しました♥

私の場合、作品写真がとても重要なので、ギャラリーの写真をもっと綺麗に撮りなおして差し替える予定なのですが、それでも大まかに形になりました。とても嬉しいです。

ブランドロゴを作ったり(このデザインは私の刺繍したバッグの中のモチーフからとりました。ヘッダーになっているバッグです)、

疑問点やデザイン、レイアウトを先生とああでもないこうでもないと悪戦苦闘しながら作りあげました。シンプルですが、とても愛着を感じています。

帰る途中、銀座和光の時計台が、『よく頑張ったね、お疲れさま。』と祝福してくれているようでした。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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